自立する
豆腐の秘密
五木豆腐を 初めて目にした人が驚くのは、 水に泳ぐことも パックに収まることもなく、 むき出しの大きなとうふの姿。 続いて手にしたときの重さにも、 みなさんビックリします。 どのようにして 〝大豆のうま味ずっしり〞 になるのか。 その秘密をご紹介します。
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五木豆腐を 初めて目にした人が驚くのは、 水に泳ぐことも パックに収まることもなく、 むき出しの大きなとうふの姿。 続いて手にしたときの重さにも、 みなさんビックリします。 どのようにして 〝大豆のうま味ずっしり〞 になるのか。 その秘密をご紹介します。
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その昔、五木村の人たちにとって、とうふは煮しめにするなど火を通して食べるものでした。
そのため密度が高く、崩れずに、噛むたび豆の味を感じられるのが大前提。
五木豆腐では、一般的なとうふの3倍量の大豆を惜しみなく用いています。
さらに毎日のものだから、原料は安定して手に入り、確かな品質であることが肝心です。
大豆は熊本や福岡、佐賀など九州産のものを使用し、豆の特徴を見極めながら「香り」「うまみ」「食感」がベストになるよう都度配合しています。
また大豆と並び、とうふの生命線となるのが水。工房の側には、水質日本一で有名な川辺川の支流である五木小川が流れます。村の誇りともいえる清らかな水が、大豆の持ち味を引き立てます。
とうふの味は、いつ食べても同じになるのが当たり前。
しかし製造の現場は、1日として判を押したようになることはありません。大豆は状態を見て、水に浸す時間を季節によって変え、すりつぶしたときの大きさや水量を加減します。
続く豆乳づくりは、さらりとした飲み口に、豆の香りとほのかな甘みが感じられ、えぐみのないものが理想。濃ければ濃いほどいい、というものではないのです。
ポイントは、大豆の成分を水に移すときの熱加減。必ずひと口飲んで、匂いと味を確認します。うん、今日もすっきり飲めて、豆のうまさが体に染み渡ります。
にがりは、入れては棒でひと混ぜ、再び入れてはひと混ぜと少しずつ。
腕に伝わる感触と変化を確かめながら、ゆるぎ(寄せ)とうふをつくります。
圧搾は五木豆腐の自立を決める、大事な工程です。堅さの中にみずみずしさを残しつつ、舌触りがよくなるように、ゆるぎを型箱にすき間なく移していきます。端まできちんと均したら、重しをしておよそ2時間。水の抜け方を見つつ、圧力を都度調整していきます。
こうしてできたとうふは、9センチ四方の立方体に。
店頭に並べるほか、道の駅や村の集落へと運びます。中には、車1台入るのがやっとの山奥で暮らすお年寄りのお宅にも。野菜なども届けながら、他愛ない話をする。かけがえのない、村の日常です。
「とうふは、こっじゃなからんば(これじゃないと)」――待ってくれる人がいる限り、実直に五木豆腐をつくり続けていきます。